張られていた湯にそっと足をつけた。
心地いい温度が肌を伝う。
完全に身体を沈めて、肩の力を抜いた。
「はぁ……」
今日一日で色々あった…。
ありすぎて頭が追い付いていない。
「……櫻井 要、か………」
変な人だ。
でも不思議と温かい人。
どうしてかな……
言葉遣いや態度は横柄なのに、何故だか温かさを感じる。
こんなのは初めてで、正直どうしていいのか分からない。
今までいた環境とは、まるで違う。
俺はどうしたらいいんだろう……。
“俺がお前を愛す代わりに、お前も俺を愛すんだ。”
あの人はそう言った。
けど俺は、愛が何なのか
――分からないんだ。