食事中は櫻井さんが一方的に質問する形となった。
主に学校生活についての質問ばかりで、当たり障りのないものばかりだった。
食事を終えて、櫻井さんはレストランの上へと上がった。
「まだどこかに行くんですか?」
「今日はここに泊まる。」
上がった先にはフロントが待ち構えていた。
さっきのレストラン同様に高級感が溢れている。
受付をする櫻井さんを俺は呆けて見ていた。
「どうした?」
気付けば鍵らしき物を手にした櫻井さんが目の前に立っていた。
「行くぞ。」
櫻井さんに連れられて部屋へと向かう。
こうやってホテルに泊まるなんてのも初めてだ。
櫻井さんは部屋に入ると、用意されていたワインに手をつけた。
その光景を見て、俺は1つの疑問を投げ掛けた。
「さっき、飲めばよかったんじゃないんですか?」
「ん?ああ、いいんだ。あの店で飲むときは、お前と飲むからな。」
やっぱり変な人だ…。
「何突っ立ってんだ?」
どうしていいか分からなく、立ち尽くしていた俺を櫻井さんが不思議そうに見てくる。
「楽にしていいぞ。先に風呂でも入るか?」
少し一人になりたくて、櫻井さんの言葉に頷いた。