「どうだったかな・・・
たぶん、した・・
んじゃねぇか。
あんま覚えてねぇけど
遊んでてしないなんて
春菜くらいだったしな」

もう、こんなふうに
言葉の端はしに
私が喜ぶような事を言うから
怒ってるのに
うれしくなって
変な気分だ。

けれど、
そのうれしい表情を出さないようにしないと、また 形勢逆転してしまうから要注意だ。

「そう・・・・」

少しニヤけてしまいそうな顔を隠すように うつむくと

「あー・・・昔の事だし、
ごめんって。
な?俺が好きなのは
昔から春菜だけだから。」

完全に誤解して
私を慰めようと 必死で
抱きしめてくれる輝樹。

こんな事言われて
こんな事されると
ニヤけた顔が 
元に戻るはずがない。

この緩んだ顔を隠すように
輝樹の胸に
顔をうずめる。

胸がキュンキュンしすぎて
思いっきり
輝樹の背中に手を回し
力強く抱きしめ返す私・・・

はたから見れば
完全にバカップル完成図だけど

2人だけの部屋に、2人だけの空間。

このまま
時間止まればいいのに。
とすら思ってしまう。