名前だけの自己紹介が終わると
車が走り始めた。

どこに行くんだろう。

キスされたから

もしかして、次は・・・

良からぬ妄想が膨らむ中
私の心臓は爆発寸前だ。

「春菜の家 どこ?」

どこって・・・・
どう説明すれば・・・

「あ、怪しい質問だったか?
ちなみに俺の家は・・・
ここ。」

車を道路脇に停め
指差す方向を見ると
2階建ての きれいな家。

「1人暮らしかと思ってました・・・」

「俺が?ムリムリ。
俺 めし作れないし
洗濯とかすら分からないし。」

それは・・・
見た目通りだから不思議じゃないけど
この人なら
喜んで身の回りの事してくれる女性が
たくさんいると思うんだけど・・・
実家暮らしとは
かなり意外だ。

「で、春菜の家は
どこら辺?」

「うちは・・・
駅の近くの・・・
雑貨やさんの斜め前です。」

「駅の近くの雑貨や・・・
あ~、分かった。
あの黄色い看板の店か?
あの店の中 音楽めちゃめちゃうるせぇんだよな~」

「たしかに・・・
家まで聞こえますもん」

やっぱ女慣れしてるだけあって
いろんな店に行ってるんだろう。
あの店は 若い女性ばかりだから
男だけでは 行き難いはずだし・・・