ー次の日ー


「あっははははっははは、やめてくれ、腹いてぇよ、
 ひーーーーー、やべぇ。」


あたしの前で笑い転げている男、
相模涼(さがみりょう)、南高であたしの仲間。

「うるせぇよ、涼。しょうがねぇだろ。」

むすっとしているあたしに対して
笑いすぎて泣いた涙を拭いた涼。


「まぁまぁ怒んなって笑
 でもよぉ無理だと思うぜ、俺はよぉ。
 むしろ他のチームにばれた場合、
 恥さらしもいいとこだぜ。
 おい、りく呼んで来い。」

そう言って涼は後ろに立っていた男に
命令した。


そう。あたしは゛ごく普通゛ではないかもしれない。
あたしは県№1のチーム、『フローディア』
というヤンキー集団に属している。
ヤンキー集団ていうか、族だね。

フローディアにはあたししか女がいない。
何でか分かんないけどそういうルール。

まぁ入りたい女の子なんていないけどね笑

あたしはお袋がそうだったから、小さい頃から
ずっとフローディアで育ってきた。
親父が総長やって、引退して、結婚して
生まれたのがあたし。

親戚もフローディアばっか。
まぁ地元じゃ有名だしね笑


あたしの目標は族に全く無関係で、
恋愛して彼氏をつくること!
心は乙女で育ったせいか、いろいろ
女子高校生としてやりたいことたくさん
あるんだもん!普通じゃないけど
普通でしょ?笑


学校には親父が裏とって
ごく普通の高校に通わせてもらってる。
まぁ送り迎えとか条件つきだけど・・・・


コンコン

扉の向こうでりくの影が見えた。
りくは後輩であたしのこと
守ってしたってくれる優しい男だ。

あたしらのチームはあたしを除いて
平均身長180を超えている。
身長高くて、しかも皆かなりのイケメンだ。


え?その中で選べばって?
いやいや、違うじゃん!確かに
めっちゃ仲良くていい奴らしかいないけど、
でもさ、本当に恋愛がしたいんだもん!

「入れ。」

と涼が言うと

「失礼します。」

と、りくが書類を持って入ってきた。
出た。お説教タイム。

あたしは座ってたクルクル回る
椅子を回して後ろを向いた。

「んで、どうだった?」

相模が聞くと

「はい。まぁ白ですね。
 市川哲、吉野高校3年Aクラス、
 たらしで有名ですが、沙織さんのことは
 マジだったみたいですよ。
 女関係も調べてみましたが、特に気になる
 奴はいないですし、大丈夫でした。」

「だそーだぞ。沙織ちゃんよー。
 良かったな、白で笑
 ほんとよーりくの仕事ばっか増やして・・・」


「あーもぉそれ聞き飽きた!
 もー何万回目ですかーーー」

とあたしが遮った。

「しょうがねぇだろ。何かあってから
 じゃ遅いんだからよー。
 皆大目に見てやってんだからとりあえず、
 ほら。」

と涼が催促してくるから椅子を回し
立ち上がった

「あーもぉはいはい。りくありがとうございましたーーーー。
 これでいんでしょ!うるさいなー涼は。」

とブツブツ良いながらまた座って椅子をクルクル回した。


「いえ。これも仕事ですから笑
 でも、1つ聞いていいですか?
 何で沙織さんみたいな強くて美人な人が
 あーいう男とばっか付き合ってるんですか?
 沙織さんより絶対弱いし、まぁ顔はそこそこ
 ですけど、沙織さんには不釣合いです。」

あたしはクルクル椅子を回してたら、
涼が答えた。

「こいつよーなんか族とか関係ない男と
 恋愛して付き合いたいていう無茶な欲望あんだよ笑
 他のチームからも一目置かれてるし、
 喧嘩じゃぜってぇ負けねぇし、まぁ美人だけどよ
 そういう可愛いとこあるお嬢様だからよ笑
 てか、それ知らないでずっと調査してたのか?笑
 りくも気の毒だなー笑」

もー別れる度にこればっかだもん、
たしかに他のチームにばれたら恥さらしも
いいとこだけど、心は乙女だもん!

「あーそうなんですか。でも気をつけて
 くださいよ?当分はおとなしくしてて
 くださいね?俺らも心配ですから。
 さっき一緒にいた奴らも不思議がって
 ましたし、もうすぐ集会ありますから。」

もーりくまでお説教!

「分かってるよーーーごめんごめん。
 当分はつくんない、大人しくしてるし、 
 そろそろこの目標も無駄かなとか
 思い始めてるころだし、
 お前らにしめしつかないもんな。」

ここでは女のあたしも俺と言わなければならない。
まぁ学校ではたまに俺とか使っちゃうけど
信頼してくれてる人は素性知ってるから
何とか普通にやっている。

「はい、良かったです。
 では、相模さん、沙織さん、
 失礼しました。」

「はーい、ご苦労さん」

相模がタバコに火をつけながら
答えた。

「あ、待ってりく!」

と言いながら急いで部屋にある冷蔵庫の
冷凍庫からあたしの大好きなアイス、ピロを
取り出した。

「はい、さっきの奴らにもあげて!」

りくはびっくりしてたけどすぐに
にこっと笑って受け取った。

「あ、ありがとうございます笑
 あいつらも喜びますよ!
 ありがたくいただきます。」

と言って部屋を出て行った。