言われるままに上着を脱いで熾した火にかざす豊田。

迷彩服が乾くし暖がとれる。

生存自活、即ちサバイバルにおいて火は重要だ。

ふと谷口を見て。

「あっ!」

豊田は声を上げた。

谷口の左の肘が赤黒く変色して腫れ上がっている。

打ち身か、打撲か。

「谷口君、怪我してる!」

「ああ…」

何でもない事のように、谷口が自分の腕を見た。

「カマドウマと組み合って斜面を転がっている時に打ったらしい…骨はイッていないから心配要らない」

「駄目よ!」

豊田はすぐに自分の戦闘救急品袋から包帯と湿布を取り出す。

「腕、見せて!」

「大丈夫だ」

「いいから!」

「……」

渋々左腕を差し出す谷口。

豊田はその傷に湿布をあてがい、しっかりと包帯を巻いて固定する。