そんな会話が交わされているなどとは知る由もない。

同じ習志野駐屯地内の一室。

豊田と麗華が書類を纏めている。

先日の地下鉄構内における特殊作戦についての報告書だ。

本来ならば、こういった書類は部隊の指揮官が作成するもの。

しかし、現在の小川分隊に指揮官はいない。

「……」

書類にペンを走らせていた麗華の手が、ピタリと止まった。