ここも谷口と小暮を先頭としたSAS方式のフォーメーションで進む小川分隊。

市街地以上にクリアリングを強化し、確実な安全確保を行う。

と。

「…小川分隊長」

豊田が足元に落ちていた何かを発見する。

「これは…」

豊田の拾い上げたそれを、小川は手に取る。

ナイフだ。

『KA-BAR』と呼ばれるミリタリーナイフ。

89式多用途銃剣を主として使用する戦術自衛隊の装備ではない。

「米海兵隊(アメリカさん)の装備だな」

KA-BARを見ながら小暮が言う。

よく見ればナイフの切っ先がやや欠けて、カマドウマの体液らしき粘液で汚れている。

このナイフで、この場所で、米海兵隊員がカマドウマと交戦したのだろうか。