悪夢の始まりは、ほんのささいな事だった。

4月――。

中学2年になった愛莉は、新しいクラスに期待を膨らませていた。
1年の頃は、いまいち親友と言える人が見つからなかったので、今年こそはと友達作りに励んだ。

その行為が幸運を呼び、一週間もしないうちにクラス全員と気軽に話せる仲になった。

親友も出来た。
森永杏奈。あだ名は森チャン。
可愛くて積極的で、少し自己中心的な所もあるけど、仲良くやってる。

学年で一番可愛いから、中学に入ってもう4回も告白されたらしい。
でもどの人もタイプじゃなくて断っている。
そのせいか、一部の女子からは目を付けられている。
そのグループのリーダーが相沢ゆり。
かなり森チャンに敵性を持っている。
でも愛莉とは小学校も同じで、結構仲が良い。

愛莉は今まで恋をした恋がない。好きな人。という感覚も、いまいち分からないでいた。

でもその一ヶ月後、その感覚を初めて感じる日がやって来た。