私は、ヒトではない。




良き者でもない。



私は、ヒトが思っているところの
天使と悪魔なのだ。






物語を読むと天使は良いヒト、だ。
悪魔は、ヒトの命を奪う悪いヒト。



では私は、時に天使で、良いヒトで、時に、悪魔になり悪いヒトに、なる。





「こら!お前はまたヒトの世界の図書館に居るな。仕事をしろ!仕事を!」



でた、スケジューラー。
私の仕事の管理をしている、このスケジューラーは、死神だ。

悪い奴……ではないが。



「今回は?」


「天使だ。さっさと翼をつけろ。」


「……………」



私は想像する。
私は天使になる。
白い翼が生え、白い布をまとう。
キラキラした輪っかを頭につける。




天使だ。




「ついてこい。」


死神についていく



ヒトの世界は、私のいる世界からしたら
ゴミ溜めだ。


汚い。



でも、それでもヒトは私たちより幸せな表情をしている。





それがいつもひっかかる。



綺麗な一軒家についた。





「ほら、あの女だ。」


窓の外から見る"あの女"のヒトは、幸せに満ちている表情をしている。



「新婚だよ、名前は仲井由美。入れる魂は"ミナミ"だ。」



「ミナミ、おいで………」


すぅっと私の手の上に綺麗なビー玉みたいな、玉が乗る。


((私、あのヒトの子供になるの?))

ミナミはそっと、私につぶやく。


「そうだよ。大丈夫、私もついていくから」



入れる魂とは、1度死んだものを生まれ変わらせる魂。
だからその日がくるまで、魂を玉に入れ、保管しておくのだ。




「行くよ。」

私はミナミに言う



そして、その女のヒトのお腹の中に私とミナミが入る。


((ねぇ、天使のお姉ちゃん。私、生まれ変わってもお母さんのこと覚えているかな?))



私は首を横に振る。


「ミナミの記憶は消すよ、新たに、このヒトの子となって生きるんだよ」


((そっかあ……………))



「…………じゃあそろそろ、記憶を消すよ。私の手の上にきて。」



そっと、ミナミが乗る 


記憶を消しながら、私はミナミに言った。



「私は、天使じゃないんだよ…………」








「だんだんうまくなっているじゃないか。ちゃんと記憶も消せている」


死神はいつも偉そうだ。  


「当たり前でしょ。」














これが、天使の仕事。