「あ、あの……大翔君」
穏やかな雰囲気の中……とても聞きづらいと思いつつも、目線を上下させながら遠慮がちに名前を呼ぶ。
ベッドの上に正座した私の頬に手が伸びてきて、スーッと優しく撫でられる。
それにピクッと反応する私を見て、満足そうに目を細める。
「何?」
ちょっとした動きなのに、大翔君がするとどうしてこんなに違って見えるんだろう。
今からこんなにドキドキしてたら、私の心臓持たないよ……。
とりあえず、もう一度心を落ち着けて深呼吸する。
「あの……大翔君はどうして……私と一緒に寝てたの?」
今さらだけど、と付け足して聞く私を無言で見つめて、「覚えてないのか」とポツリ。
「昨日……あの後な、まりや俺が抱きしめてる間に寝たんだよ」
へ? 寝た? あの後って、大翔君に勢いで告白しちゃって、両想いになれて……。
抱きしめてもらって、それがすごく心地よくてそれで……。
それで……嘘……。
その後の記憶がまったくない。
「いくら起こしても起きなかったし、ベッドに寝かせたはいいけど、俺の服持ったまま離さないし。
すっげー困ったんだけど。お前、俺の気持ちなんかお構いなしにスヤスヤ寝てるし、どれだけ大変だったかわかってんのか?」