どんな反応を返していいのか困っていると、背中に回っていた大翔君の手がスルッと私の頬を撫でる。
そのくすぐったさにピクリと肩を上下させて、もう一度ちゃんと大翔君を見つめる。
さっきまで赤くなっていた大翔君はもういつも通りに戻っていたけど、私を見つめる瞳が物凄く優しくてドキドキした。
あの夜、好きな人を想う時に見せた優しくて愛しいそんな顔。
ただの幼なじみの私にどうしてそんな顔するのかが不思議でならなかった。
「俺も、ずっと……好きだった」
「……えっ? 好きって、誰を?」
少し考えてみたけど、自分に言われてるものじゃないと思って、普通に聞き返してしまった。
「誰って、冗談で聞いてんの? 俺のこと試してる?」
「え? えぇっ? 本当に誰のことかわからない。
だって、大翔君には好きな人がいるから、だからその人に伝えてあげたほうが……いい、んじゃ……」
何、言ってるんだろ……私。
こんなこと言われなくても、大翔君はちゃんとわかってるよね。
ちゃんと祝福してあげなきゃいけないのに、幼なじみとして。
そう思ってるのに、他の子が大翔君の隣にいるなんて、やっぱり嫌だよ……っ。
「まりや」
引っ込んでた涙がまた顔を出しそうになった時名前を呼ばれたけど、当然答えられるわけもなくて、フルフルと首を緩く横に振る。