「ほんとお前って自分のことより人のことばっか気にして……」



ベッドに押さえつけられていた腕はいつの間にか解放されていて、そのまま大翔君に体を起こされるとすっぽりと包みこむように抱きしめられた。



突然のことにビックリして、流れていた涙はどこかへ引っ込んでしまったみたい。



「まりやは俺にもっとわがまま言って甘えていいんだよ。気を遣って迷惑かけるなんて思わなくていい。
お前は俺にとって特別だって言っただろ?

俺はもっとお前のこと甘やかしてやりたい。今までのじゃ全然足りないくらいもっと……」



背中と腰に回された大翔君の手がすごく熱くて、その熱が私の体にも伝染してくる。



こんなこと言われたら勘違いしそうになる。



大翔君には好きな人がいるのに、私のこと……好きなんじゃないかって都合よく思っちゃう。



「そ、そんなこと言っちゃダメだよ。

大翔君の好きな人に誤解されちゃうっ」



これ以上、都合よく考えちゃいけないと自分の気持ちを抑えて大翔君から離れようとするのに。それを許してもらえなかった。



「誤解されてもいいよ。お前になら」



「……? 大翔君……?」



何言ってるんだろう。



私に誤解されてもいいって……誤解されちゃいけない相手は大翔君の彼女なのに。



「なぁ、まりや。俺に好きな奴がいるって知って、どうしてショックだったのか俺に教えてよ」



耳元に囁かれたお願いごとに背中がソクッとする。



こんな聞き方ズルイ。こんなふうに言われたら、言わなきゃいけない気がしてくる。