「さっきは祥吾に邪魔されたから聞けなかったけど、ちゃんとお前の口から言って。
俺を避けてる理由……ちゃんと聞くから」



怒ってるように見えた大翔君の声は、雰囲気とは全然違ってすごく優しいもので、ますます顔を上げて話すことなんてできなくなる。



私のわがままで大翔君を困らせたくないから、ちゃんと話さなきゃ。



「大翔君……今まで迷惑かけてごめんね。
お母さん達のわがままで私と一緒にいてくれたっていうのはわかってる。

でも、もういいよ? 無理しなくても。
私1人でも大丈夫。

好きな人いるって知らなかったから、ずっと大翔君の言葉に甘えてきちゃって……。
だから、もう同居しなくても大丈夫」



変なこと言ってないよね?



ちゃんと思ってること言えた……よね。



ちゃんと伝えられたことに1人安心していると、大翔君の口から呆れたような溜め息が聞こえた。



何も言われてないのに、その態度の方がショックが大きくて、完全に嫌われたと思えた。



嫌われたって思うなんておかしいよね。



私はただの幼なじみで、それ以上でもそれ以下でもないんだから。



「何それ。そんなこと本気で言ってんの? お前」



聞いたことない、私に向けられる初めての冷たい感情がない声。



それに驚いて大翔君を見ると、あっという間に腕を掴まれて、そのままベッドに押し倒される。



「意味わかんないんだけど。

同居しなくても大丈夫とか……俺が納得できるようにちゃんと説明しろよ」



こんな大翔君の態度は初めて見る。



ベッドに押し付けられてる腕を動かそうとしてもピクリとも動かない。