「あたし、俊平と出会えて良かったよ」




あたしも出会わなければ良かったと思ったこともあった。



だけど、どれだけ辛くても俊平が好きな気持ちだけは変わらない。




「いろいろあったけど、本当に俊平のこと好きだった」



そう言うと俊平はあたしを思いっきり抱き締めてきた。



力強くて痛いくらいだったけど、心が安らぐのを感じた。



ずっとずっとこの腕を待っていたんだ。



本当はこの腕だけを待っていた。



あたしは涙が流れてきた。



母親が死んだときも実感がなくて泣けなかったのに、何故だか俊平に抱き締められただけで涙が止まらなくなった。