だけど泣かない。



もう俊平に涙を見せたくない。



もうこれ以上優しくされたくない。




俊平はあたしの頬から手を離すと、縛られていた縄をほどいてくれた。




「痕ついてんな…ちょっと待ってろ。すぐ片付けてやるから」




そう言った俊平の目は、さっきまでの優しかったのが嘘のように一気に変わってしまった。




「いいよ!」


「は?」




あたしは自由になったばかりの腕で俊平のスエットを掴んだ。




「何もされてないしいいよ。助けに来てくれてありがとう。じゃあね」