離れようと思えば、
今すぐにでも離れられる。




だけど、
今あたしの腕を掴んでいるのは
獣牙の幹部だ。



下手に目つけられるより、
ここは怪我の手当てだけ
してもらって帰った方がいいか…。







そんなことを考えていたら、








「優真じゃん!久々だな!」



「元気でしたか?」



目の前には
グレーのオオカミのピアスをつけた
男が30人ほど。






「…って、その女誰っすか?」



ひとりの男が
優真にそう尋ねると、



「あー、俺が助けた子。

 怪我してるから
 手当てしようと思ってね」



ニコッと笑った優真に、


「さすがっすね」


なんて下っ端の男も笑う。