「だって、

 僕と友達になったら
 お兄さんの友達に
 "泥棒"って怒られちゃう。




 友達ってね、
 とっちゃいけないの。


 横取りしちゃ
 だめなんだよ」





必死になって
涙が出そうになるのを我慢して、
言葉にしたのに。










「…お前は、
 泥棒って言われたこと
 あんのか?」






その一言で、


全部、全部崩れる。




真実を突き付けられる。













…いや、違う。違うんだ。




真実を突き付けられたことよりも、


俺は"友達泥棒"ということが
"お父さん"に知られてしまったことが
悲しかった。



"友達泥棒"の俺とは、
きっともう
話をしてくれないと思ったから。