切り終わった後
悠さんが巻いてくれた包帯を
丁寧に取ったおじさんは、
「…大分深いな…。
痛いと思うけど
少しだけ我慢してね」
と、今度は消毒をする。
「…っ」
悠さんに
消毒をしてもらった時に比べれば
時間が経っているということもあり
まだ痛みは軽いが、
それでも痛いのに変わりはない。
そんなあたしを見て、
「そのかつら。
それを被っていると
翔司くんにそっくりだね」
と、
少しでも気を紛らわせるために
話しかけてくれる。
「…本当ですか。
すごく嬉しいです」
おじさんの言葉に
思わず涙が零れそうになるのを
グッと我慢する。