「…俺たちのことなんて気にせず、
避ければ良かったのに」
そう言って、
少し悲しそうに笑った悠さん。
…ああ、バレてたんだ…。
…あの時投げられたナイフ。
いきなりとはいえ、
避けようと思えば
簡単に避けることは出来た。
それでも
避けなかったのは、
あたしのすぐ後ろに
駿や優真、悠さんが居たことを
知っていたから。
「はは、悠さんには敵いませんね」
力なく笑ったあたしを、
近くにあったソファに座らせた悠さん。
「ちょっと、我慢してね」
そう言って、
消毒をし始めた。
「…っ」
あまりの痛さに、
思わず顔をしかめる。