その救急箱で、
自分の腕の手当てをすると
思っていた俺。








…だけど、





「…大丈夫か…」



海龍が手を伸ばしたのは
優真だった。





「…うっ」


殴られたところを海龍に触られ
辛そうに声を出した優真に、





「…少し我慢して」



そう言って
消毒した後、
綺麗に包帯を巻いていく。





「…あり、が…」



「…喋らないほうがいい」



お礼を言おうとした優真を
遮った海龍は、




「悠さん、
 病院に連れてってもらっても
 いいですか」



また、副総長に頭を下げる。




「もちろん、総長も気を付けてね」



と、
細くひょろっとした見た目の副総長が
180㎝以上ある優真を
軽々と抱き上げる。