それは抜け道をやっと目のまえにした場所の時の頃だった。
一気に世界が反転して地に手をつく。
今ばかりはこの転ぶ原因となってしまったご神木の太く大きな根が憎らしい。
早く立ち上がらなきゃそう思った時にはもう手遅れだった。
「やっと観念したか?あぁ?」
不自然なほど、まるで信号機のような髪の色をした男たちがいっせいに私の目の前を覆いつくしたからだ。
その眼はまるで飢えたハイエナのように荒んでいる。
はぁはぁというだらしないその呼吸が危機感を余計煽る。
逃げられないけど逃げたいそんな矛盾した感情が私を襲う。
後ろに後ずさりしても男達はギラギラとした笑みを浮かべ迫ってくる。
もう手遅れだ。そんな絶望感が一気に襲ってくる。
涙なんか流れてこない。
冷や汗はもはや手の濡らし、額を伝う。
もう無理だ、諦めよう。
別にこういう体と体の合わさる行為は初めてなんかじゃないしこんな男達に抱かれて何か失うほど純粋でもない。
でも死ぬのだけは嫌だ、そう思い始めていた時だった。
右肩だけ何か別のところのもわもわしたところにあるような、
穴のなかにでもはいっているような、
いやそんなことはない。
肩はしっかりついてるしそんな変なところに入れた覚えはない。
きっと怖くなって感覚すらおかしくなってるんだ。
そう思いたかった。