慌てて沙奈が私の顔を覗き込む。
「い…いひゃい…」
全然大丈夫じゃなよ……沙奈……。
私はジンジンと痛む鼻を手で押さえながら、きっと涙目になっている。
教室の中に目をやると、驚いた子やこっちを見ながら友達と話している子、必死に笑いをこらえている子まで、様々な表情をした生徒で溢れ返っていた。
…最悪……。
すぐに自分の顔が赤くなっていくのがわかった。
…新学期早々やっちゃったよ……
そう思いながらも何もなかったかのような平気な顔で教室へと入った。
この顔を保つことだけで精一杯。
鼻の痛みはまだ治まらない。