一部始終を見ていて、呆れた顔で遥先輩が話す。
「それに、もう退校時刻になるよ」
え?
一斉に時計を見る。
針は5時45分を指していた。
「あと5分しかないじゃん!」
「ウソ!? ヤバイ!!」
未来先輩の一言で皆が焦り始める。
遥先輩以外は皆、胴着姿。
ちなみに、遥先輩はというと。
いつの間にか制服に着替えていた。
流石、女子キャプテン。
しっかりしてるわ……。
私達はギリギリ退校時刻に間に合った。
「じゃーね!」
「お疲れさまでした!」
先輩達が次々と下校していくのを見送る。
「さてと…帰るか」
独り言を呟き、その場をあとにした。
3㎞の道のりを自転車で帰る。
「佐伯君…」
夕焼けに染まる空を見ながら、独り呟いた。
きっと、今私が感じる距離感に合う君の呼び方は、“佐伯君”がいいだろう。
そんなことを思いながら――