見事に、嫌な予感は当たっていた。
私の腕を掴んで、どこかへ連れて行く富山先輩。
「先輩、どこへ連れて行くんですか?」
「んー?とーっても良いとこ♪」
先輩は笑顔のまま私の腕を引っ張り続ける。
絶対、先輩の入っている部活の部室とかですよね。
部活の事を聞いて、校舎の外まで来て、この流れで部活関係のところ以外、何があるんですか………。
でも、校舎の外に出てきたって言うことはスポーツ系の部活かもしれない。
「あの、先輩私――」
「着いたよ」
「え?」
気付いたら、私は建物の前に連れて来られていた。
え……?
ここって……
「剣道場……?」
私はポツリと呟いた。
中からは竹刀と竹刀が当たる音、そして、威勢のいい発声が聴こえた。
先輩へ連れられ、剣道場の中へと入る。
そこには、迫力満天な練習風景が広がっていた。
「面!!!」
「もっとしっかり打て!」
「はい!」