なんだか、そのときの声が
手の温かさが
あたしの心を落ち着かせた。

「…大丈夫だよ」

男の声は低く、
でも優しくあたしに大丈夫だよ、と
投げかける。

「あり、がと、う」

あたしは
ゆっくり、ゆっくり
小さな声で男にそう言う。

「ははっ。大丈夫。君はいい子だ」

男は撫でる手を止めた。

「あ、あのっ」

「振り向いたらダメ」