「……ねえ芽衣どうしよう。うちの名前がない……」



私は芽衣に持っていた紙―――クラス替え発表用紙を見せた。


そこには、一組から五組までの新クラス名簿が整然と並んでいる……のだが。



「本当だ。すぅの名前載ってない。」



そうなのだ。


初め見落としたのかと思って隅々まで目を光らせるようにしてチェックしたのだが、どこにも載っていないのだ。


もちろんただのミスだろう。
でも、私の中には急速に不安が広がり始めている。



「ひどいねこれ。すぅ何組かわかんないじゃん……。あ、あたし3組だから3組だといいね。一回も同じクラスになれてないじゃん」



一方芽衣は私の言葉を待たずに一人でべらべら喋り続けていたのだが、不意に言葉を切り、私の表情を見て、



「……あ、やだなあ。すぅってばどんな顔してんの」


「えっ?」



私は芽衣に聞き返す。
そんなに変な表情をしていたと言う自覚はなかった。



「大丈夫だよ。もし書類上にミスですぅがこの学校の生徒じゃなくなってたりしても、それは書類の上だけでしょ。すぅがここの生徒だと言うことは変わらないんだから」



それに、と芽衣は更に続ける。



「校長とかがとやかく言ってきたら、あたし交渉するよ?」


「芽衣……」



私はうつむいていた顔を上げた。
いつの間にか、心の中に垂れ込めていた暗雲は取り除かれてた。



「まあ、そんなミスは無いと思うけどね」



まあね、と言って私たちは小さく笑った。