……何かすげえ取っ付きにくい奴だな。美人だけど。


隣だが特に関わりもせず、事務的な会話しかしなさそうだと、そう思っていた。



――――――が、




「じゃあ桐生。
お前、橘の世話係りしてやれ」


………は?


おい。

言ったよな?

世話係りなんてごめんだって。
(※心の中で)


言ったよな?!

聞いてなかったのか?!
聞いてなかったのかよ先公ゴルァ!!
(※心の中なので)



「…あのー……先こ……じゃなかった。先生、俺―――」



「よろしく桐生くん」




「………え、」


ちょっと待て。

俺はまだ何にも……、


「そうかそうか。引き受けてくれるんだな。」

"じゃあよろしく頼んだ。桐生"


清々しいくらいの笑顔で、
悪魔の担任は俺にそう告げた。



世話係りなんてしなければ、
俺はこいつと関わっていなかったかもしれないのに。



これが、俺と橘 千尋の、
最悪にして最高な、



  天国(ソラ)に近い物語。




…………の、始まりだった。