「…………どういうことだ?」



「わかんないけど………、灯も青丹丸もいないの」



「………青丹丸?」





群雲が首を捻る。






「群雲、聞いてないの?


灯ね、朽葉丸の子犬の一匹を引き取ったのよ」





「朽葉丸の?


朽葉丸のやつ、ずいぶん気が立ってたみたいなのに、よく許したなぁ」





「そうなの。


なんだか、灯だけは特別みたい」





「………まぁ、あいつは昔から、動物には好かれるからなぁ」






群雲はそう呟き、強いて話を切り上げた。






「………まぁ、しかたない。


あいつの首には縄はつけられん。


しばらく様子を見るしかないな。




………ったく、あれだけ皆に心配かけといて、今度はどこをほっつき歩いてるんだか………」





群雲の苦労は尽きないのだった。