「〜〜〜かわいいっ!!」




小桃が羨ましそうに手を伸ばすが、子犬は怯えて身を震わせた。





「……なんだか、灯にだけ懐いたみたい」



「………似た者どうしだからかな」



「え?」




小桃が訊き返したが、灯は答えず、そっと子犬の頭を撫でた。





朽葉丸がこちらに気づき、じっと見ているが、唸っている様子はない。





「………朽葉丸。


この子、もらっていいか」





朽葉丸は動かなかった。



それを肯定の合図だと受け取り、灯は子犬を抱いて歩き出した。






その後を小桃が追う。





「いいなぁ、灯!その子を飼うのね!」



「あぁ、………まぁな」



「名前を考えなきゃ!!」



「そうだなぁ………青丹丸、なんてのはどうだろう」



「ええっ? 変なの。青と赤なんて」



「いいんだよ」




灯の口許が微かに綻んだのを、小桃は不思議そうに首を傾げて見つめた。