高校に入学して早5ヶ月。
少し肌寒くなってきた頃、
私、春川 璃桜(ハルカワ リオ)は彼に恋をした。
『好きな人と席が隣なんて羨ましいわ〜』
『そうかな?』
『そうだよ!だって話す機会できるじゃん!』
羨ましそうに話す美愛。
木村 美愛(キムラ ミア)。
中学の時からの友達。
私の話をまるで自分の事のように聞いてくれて、心配してくれる。
とっても優しい子。
だから女子からも男子からも好かれる。
『別に話せなくてもいいし、』
『なんでさ!せっかく隣なのに!』
『本当にいいんだもん』
『付き合いたいとか思わないの?』
付き合うか…
私には無縁な話だ。
『付き合うとかもういい』
『もしかしてあの人のこと引きずってる?』
『引きずってるわけじゃないよ、もう忘れたから』
『ならいいけど〜』
今は隣の彼の事で頭がいっぱいだ。
時雨 結城(シグレ ユウキ)。
少し無口で、皆よりも大人びている。
正直なんで好きになったのかわからない。
『でもさー、結城君のどこがいいの?なんか怖くない?』
『怖くないよ、無口っていうだけじゃん』
『そこが怖いんだよ〜』
『話してみたらわかるよ、怖くない』
『やだー』
美愛ったら。
結城君は女子から怖がられている。
無口っていうところが怖がれているみたい。
本当はいい人なのに。
『美愛と知り合いなんでしょ?』
『そーだけど、嫌なものは嫌なの!』
『もう…』
美愛と結城君は知り合いらしい。
どういう知り合いなのかは教えてくれない。
別に気になってるわけじゃないけど。
『けど、うちはオススメできないなぁ〜』
『なんで?』
『なんとなく…』
『大丈夫だよ、すぐ諦めるから』
そう、諦める。
誰かと付き合いたいわけじゃないし、
それに結城君には好きな人ごいるみたいだし。
告白してもダメだから。
諦めるしかない。