「覚えてるよ。エリーシャが突然、泣きだしたんだよな?」

カイはちょっと気まずそうだ。

「私、カイやナリーナ、エリエンには両親は小さい頃に病気で死んだって言ったわね。確かに死んだんだけど、2人ともボスモンスターに八つ裂きにされたの。あの時は、両親のこと思いだしてしまったのよ」

「えっ!!」

カイが大きく驚きの声をあげる。

「両親は冒険者だったわ。私はその時、6歳だったの。そして、両親の友人に預けられて10歳まで暮らしたの。それからは両親の別の友人のエレン教官のとこで冒険者にってわけ」
エレンは水が入った皮袋をぎゅっと握りしめた。

「そっかぁ。ありきたりだけど、大変だったねってしか言えないな。ごめん!」
カイは頭をちょっと下げた。

「カイ、聞いてくれてありがとう。いままで両親の友人とエレン教官にしか言えなかったの。……そういえば、カイの両親のこと聞いてなかったわね?」