恐る恐る声のする方を見ると、池の淵に女の人が一人、池の水に足をつけて座っていた。

青白く光る池の周りには、蛍のような淡い光が舞っている。

「…こちらへ来い。」

「…いや、本当いいです、その、ほら、迷惑だしってうわああ!?」

思い切り池の方に体が引っ張られる。

「なぜそんなに遠慮する。もっと近くに来い。傷が見えないではないか。」

「…ひっ……。」

思わず軽く声を上げると、女の人の艶やかな溜息が聞こえてきた。

「…そんなにも、わらわが怖いか?」

いや、そりゃ怖いだろ。

私人間じゃない宣言した奴と、一緒にいるなんて怖いだろ!!

「わらわは…何も、しない。だから安心せい。傷の治療が終われば、帰してやる。」

ちょっと悲しそうな声に、あ、傷付けたか?と思って、とりあえず

「ごめん。」

と言った。

「別に…謝ってほしくなど、無いのだが。」

女の人は溜息混じりに言う。