「わらわが怖いから、謝るのだろう?」

「…別にそういうんじゃ。」

「いや、違う。そなたはわらわの目を見て、逃げようとした。…怖いのだろう。わらわが。」

女の人の言葉が、一つ一つナイフのように心に突き刺さる。

女の人の声色は、静かに悲しんでいた。

「…傷付けた?」

「いや、気にせんで良い。わらわの母上は、もっと苦しんでいただろうし。」

「母上?」

「いや、こちらの話だ。…少し待っていろ。薬を持ってくる。」

女の人はそのまま池に身を浸けた。

「え、ちょっ、」

そして、まるで人魚のように華麗に潜水してゆく。

そして、あたりは何もなかったかのように静かになった。

「…何なんだ。」

そしてしばらくの間あたりには虫の鳴く声だけが響いていた。

……帰りたい。なにげに寒いし。

すると、池に波紋が広がり、先ほどの女の人が水面から顔を出した。

潜水時間長すぎだろ!!!!