俺は、ゆっくりと女の人に近付いた。

「……わらわの横まで来い。」

女の人のいる池の淵へ、ゆっくりと足を進める。

そして、女の人の真横で、足を止めた。

顔をうつむかせていた女の人が、ゆっくりと顔を上げた。

薄い霧の中にギラリと獣のような金色の瞳が光る。

「…っ!?」

思わず後ずさりしようと思ったら、女の人に手首を掴まれた。

やっぱり、何もしないなんて嘘じゃん!!!!

俺はぎゅっと目をつぶった。





「………何を、しておる?」

「…え。」

「傷を、よく見せろと言うておるに。座れ。」

思わず拍子抜け。

…てっきり池に引きずり込まれるかと思った。

俺はゆっくりと女の人の隣に座った。

「……池に引きずり込まれるとでも、思ったか。」

…ぎくっ。

「…わらわに隠し事は通用せんぞ。わらわにはお前の心が面白いほどに読める。」

「………すいません。」

「だから、なぜ謝る?」

女の人はまたため息をついた。