私、恋愛初心者なんですが。



この練習試合は1人3回射る事が出来て
その合計点で大会メンバーを決めるらしい

三浦南朋のチャンスはあと2回……


練習場でただ1人、立ちながら
悔しそうに目を伏せている三浦南朋を見て

璃子はプツッと自分の中の何かが切れた


渡り廊下の後ろの方で見ていたが
ギャラリーを掻き分け柵に手を付ける



そしてはーっと息を吐き、



柵から身を乗りだしながら


「……っ三浦南朋ーっ!!
しっかりやれーっ!!!!」

っと自分でも信じれないような大きな声で叫ぶ

そこで資料運びの途中に見た、
あの三浦南朋の悔しそうな顔を思い出す


「自分を信じれば大丈夫!!
絶対大丈夫だから!!!」

と再び大声で叫んでいると


いつの間にか周りは静まり返っていて
ハッとしてギャラリーを見ると

璃子を白い目で見ているし、
更に三浦南朋はこちらをみて呆気に取られている





や、やってしまった……

と恥ずかしくなったが
先ほどのノムの言葉を思いだし、もう璃子は止まらなくなった


「……~っとにかく!
私、あの日の事忘れてなんかやらないんだからね!!!

…嫌なら1本くらいちゃんと決めろっ!」

と真っ赤になった顔で叫ぶと


周りがみんな璃子を見ていて
何ともいたたまれない気持ちになり

そこでギャラリーを掻き分けて校舎へと走った





ひたすらズンズンと頭をふりきりながら
早足で歩いていると
スカートのポケットの中の携帯が震える


“何だか、一波乱ありそうだから先帰るね
ファイトよ、璃子\(^o^)/”

と恭子からメールが届く


一波乱……?雨だっけ…?

なんて思いながらパックジュースを1つ買い
中庭へと向かう


中庭へ付くともう7月に入ったので
やはり暑かったがベンチへ腰を下ろす


そしてぼーっと考え事をする






璃子は高校1年生の時から
テストの点が悪かったり、家族と喧嘩をした時などによくこの場所へ1人でていた


この学校の第二校舎はカタカナのロの字のようになっており、その真ん中に中庭がある

中庭には桜の木が何本も植えてあり
満開の時はすごく綺麗だ


ふと、恭子、ノム、璃子そして三浦南朋で
お昼ご飯を食べていた事を思い出す





今思えば、不思議な組み合わせだな……

と璃子は思えてくる


ノムとは1年生の頃から割りと話していたけど
2年のクラス替えから同じクラスになった三浦南朋がノムの友達でなければ一緒に食べる事もなかっただろう

いや、私とノムが席を移動しなかったから
必然的に4人が集まっているようになったのか…


と今は青々と茂っている桜の木を見つめ
めんどくさがり屋の自分に対し笑った



すっかり考え事をしていると
いつの間にか夕焼け空になり、部活動の声も聞こえなくなっているのに気付き

璃子は急いで空になったパックジュースを持ち
教室へと向かった


教室にはもう璃子の鞄しかなく


どんだけぼーっとしてたんだ……

と流石に自分でも驚いた


そして鞄を手にとり昇降口へ向かう

昇降口へ着くと向こう側から歩いていくる人影が見えた

誰だろ、と思いながら靴を取り出していると

「あっ」
と声が聞こえて振り替える


そこには制服姿のノムと三浦南朋がいた






するとノムは顔の前でパンッと手を叩き、

「わりっ、今日用あんだわ」

と三浦南朋に言い、急いで靴を履き
出ていってしまった


「「…………」」

心臓に悪いほどの沈黙が流れる


璃子は覚悟を決め

「……あのさ、あの後試合どうだった…?」


と聞くと三浦南朋は靴を取り出しながら答える


「あー……県大、無事出られる」

あのさ、と続けるが


「そっか!良かった!……じゃあまた明日」

とそそくさと帰ろうとする璃子の手首を
パシッと掴み


「……遅いし送る」

そう口元を手で覆って言い、歩きだす三浦南朋


“大丈夫、1人で帰れるから”

と言おうとしたが三浦南朋が手首から手を離し
ソッと手を繋いできたので

ドキッとして璃子は何も言えず黙って付いていった



それからの会話は璃子の道案内だけだった




何故、手を繋ぎ2人で帰っているのか
よくわからなかったのでソッと隣の三浦南朋を盗み見る


背高いなぁー
髪も良い感じにふわふわだなぁー
男のくせに長い睫毛いいなぁー
目も綺麗だなぁー



そして横顔の唇を見た時にハッと顔を前に戻す

“あの唇と……私…”

と思い三浦南朋とのキスを思いだし、恥ずかしくなった



そんな璃子の様子を三浦南朋は不思議そうに見る

そして、小さい頃によく遊んでいた公園に差し掛かった時に三浦南朋が急に立ち止まり
手を繋いでいる璃子は振り返る