影ができた。僕はとっさに顔をあげた。 『あっ…!すみません…つい』 顔の近くに手が伸びてきたのだ。 なんだ?なんて思ったら、顔に出てたらしく、沙織さんは申し訳なさそうな顔をした。 『前髪が…』 ああ…。きっとこの子は、僕の目を隠した長い前髪を気にしてくれたんだろう。 『…っあの、小鳥遊さん』 真っ直ぐな目が僕を捉える。