『ちーちゃん』


その夜も夢にショータくんが現れた。


『ちーちゃん、猫を飼ってるの?』


「うん…拾ったの。
でもね、きっと誰かの飼い猫だと思うんだ…」


『どうしてそう思うの?』


「だって凄ーく綺麗な猫ちゃんなんだよ。
絶対に野良なんかじゃない。大事に大事に育てられたに決まってる」


『ふーん、そうなんだ。
で、名前は何ていうの?』


名前?
それは・・・付けてない。

「名前はね、付けてないの。
本当の持ち主が現れたら混乱するでしょ?
だからね、ずっと“猫ちゃん”って呼んでる」


『“猫ちゃん”・・・ねぇ。
でも、きっとその猫はお利口さんだから混乱なんてしないと思うよ?
だから名前を付けてあげたら?』


お利口さん、か。
確かにそうかも。
空気読んでるし、お行儀だっていい。


『その猫・・・オス?』


「うん、男の子だよ。すっごいイケメン(笑)」


『へぇ~。 じゃぁ“ショータ”にしなよ。
俺とおんなじ名前』

「ショータ??
そうだね、ショータくんみたいにイケメンだしね!」