足を挫いたのか、立ち上がろうとして足首の辺りに激痛が走って力が入らない。


何で私だけこんな目に合わなきゃいけないんだ。


何で…、何で私だけ……。


悔しさなのか、情けなさのか分からない涙が次々と零れてくる。


こんな場所で、泣きたくなんてないのに溢れる涙が止まらない。


自分の置かれてる立場も考えないで、私はふと思った。


世の中の人は冷たいって。


私がここに座り込んで3、4人の人がこの道を通ったけど誰も私に目も向けてくれない。


傘を差しだしてくれる人もいなければ、『大丈夫ですか?』と一言声をかけてくれる人もいない。


当然だ。


私が通行人の立場だったら、素通りしてしまうかもしれない。


座り込んでる人を勝手に変な人と決めつけて、近寄れないかもしれない。


自分のことを棚に上げて、最低だ私。


「やっと見つけた…」


その言葉と伴に、体を濡らし続けていた雨が遮られた。


振り返ると、見覚えのあるスニーカーと私が居酒屋に忘れてきたピンク色の傘の先が目に入った。