反抗心も手伝ってか、知らず知らずのうちに、つい地の喋り方で、赤間君に接していた。



「さっきのキスマジでキモかった。もう頼むから、私に近寄んないで」

「……一さんにも言われた。紗凪の気持ち、考えてなくて……ごめん」

「…別に。いいけど。……それに私、男の人と付き合うとか全く考えてないから」

「……でも、充さん達や一さんとは仲良くしてんじゃん」


拗ねたように、赤間君が呟いた。


………ちっ、ウゼぇ。拗ねるとか。


「一さんとか充さん達は、私の事は多分恋愛対象として見てないし、私もそういう風には見てないから」

「…あ、そ…」


つっけんどんに言い切り、コンビニの店内に入った私を、赤間君はしつこく追いかけて来た。


「こんな時間に何買いに来たよ、お前は?暗くて危ねーだろ」



なんでそこまで説明しなきゃなんねーんだよ。つか、お前が一番危ない奴だろうが。



「甘いもの食べたくなったから」

「……何食いてーの?」


煩いなぁ、一々。なんでアンタにそんなの教えなきゃいけないわけ!?


一言苦言を呈しようかと、赤間君を振り返って見れば、その髪が濡れている事に気が付いた。


シャワーを浴びたばかりなのか、仄かに匂う、シャンプーの香り。



「髪の毛はちゃんと乾かさないと、風邪引くよ?」


それを言うと、赤間君は顔を真っ赤にして俯いてしまった。