太宰が男性なのに、こんな文章を書けるのは、何故だろう?


男の人でも、こんな考え方ってできるものなの?



……私って、なんだろう?


相手から見て、どういう存在?



両親の死で、自分の足元がぐらついている今、それに対しての答えをはっきりと言ってくれる人はいない。



だけど。



この寮に来て、優子さんや充さんに紫野さん、それから一さんや宏樹さん……。


彼らに出会って、少しずつだけど『何か』が変わってきたような、そんな気がする。



この寮に来たのは、最初は確かに不純な動機ではあったけれど、自分が思ってもみなかった感情が芽生えたのだけは確かだ。


今日だって、紫野さんや一さんに慰められたら自然に涙が出てきたし、赤間君に対しての怒りも露にした。



両親の死から今までは、例え奈乃の前でもあんなに取り乱すことなんてなかったし、自分の感情を殺すように生きてきた。




でも、秦野君から借りたこの一冊の本のせいで、自分を取り繕うことが滑稽で仕方なく見えてくる。



私……私って、どんな奴だったっけ?


むー……。


自分でもなんだかよく分からないループに陥ってしまったようだ。





こういう時は、甘いものを食べたくなるというか、つまりコンビニに行きたい。