太宰治の作品は、せいぜい『走れメロス』ぐらいしか読んだことのなかった私には、この『女生徒』という作品は、確かに少なからず衝撃だった。




表現方法を少し変えて、現代のジャンクな言葉に置き換えれば、ケータイ小説でも充分通用するんじゃないかってくらいに軽い話だ。




話の内容は何という事はない、一人の女生徒の一日を綴った小説なのだが、何故かそれが……今の私の心情に、ぴたりと当てはまるのだ。




それはもう、パズルのピースが合わさっていくように。




大人になりきれない、なりたくないと足掻く今の私達の気持ち、それらの狭間で揺れる感情の葛藤………そんな心の襞を、清々しいほどの女性視点で描かれている。



それに、男性である太宰治が何故、こうも瑞々しく女の子の気持ちを理解できるのだろう?






読み進めていくうちに、自分はこれでも良いんだ。そういう錯覚に陥るから不思議だ。



いや、私は……。