………良かった。
充さんや紫野さん、それに宏樹さんや一さんみたいな人がいてくれて。
何だかんだ言っても、結局は私、お父さんやお母さんの『死』を、まだ乗り越えきれずにいたんだ。
お父さん達の『死』から目を瞑って逃げてただけなんだよ。
この寮に入るまでは、それでも一人で頑張らなきゃって、お葬式や四十九日の法要をこなしたけど、いざ一人になるのが怖くてここに来た。
親戚は誰も助けてはくれなかった。
………ここに来て、初めて優しさに触れたように思う。
だから、こんなに涙が出るんだ。
私が苦しんでる事を理解してくれる人達がいた。
………ありがとう、お父さん、お母さん。
こんなに素敵な財産を遺してくれて。
涙混じりの夕食はしょっぱいけど、温かく私の心に染み込んでいった……―――。