「でね、皆。この子が新しい大家さん。前の大家さんの娘さんだよ。来生紗凪ちゃん。まだ高校生だけど宜しくね」


優子さんの挨拶に軽く会釈をして、そんなに広くもない食堂の前から、寮生の皆さんを見回した。



今この食堂には、寮生8人全員がテーブルを前にして、銘々に座っている。


「来生紗凪、蘭華学園の2年生です。まだまだ分からない事だらけですが、皆さんのお力になれるよう頑張ります。宜しくお願い致します」



私がそう挨拶をしたものの、起こった拍手はまばらだった。私の格好を見て、あからさまに「うわ、外れじゃね?」なんて言ってるチャラっぽい人がいる。


うん。あの人はきっとノーマルだな。ごめん、私にとっても外れだよ。


「大家さん達が亡くなったから、ここは売られんのかって皆心配してたけど、それは無いんだな?でも女子高生に大家なんて務まんのか?」




重厚な声でそう優子さんに聞いたのは、筋肉質の体育会系な男の人。多分、大学生だろう。




「私が今まで通りに遣り繰りするから大丈夫。それより皆、自己紹介をしてくれない?紗凪ちゃんが皆の事知らないと困るでしょ?」




そう促されて立ち上がったのは、さっきの大学生風の人だった。