「……けどよ、俺らも男だけど、お前は何で俺らは平気なんだよ?俺らだってキスとかそれ以上は、やってんだけど?」



まだぐずぐず鼻水を垂らしながらしゃくりあげている私に、充さんが不思議そうに尋ねた。



だって、それは。



「よく分かんないですけど……。少なくとも充さんも紫野さんも、私にはそういうコト、しない……って、思うから……」

「信用されてるんだ?僕達」



信用……?とはまた違う気がする。


むー…と、首を傾げて思い悩む私に、紫野さんは理解したような顔をして見せた。


「……異性に対しての嫌悪感……みたいな認識が、多分似てるのかな?僕達と紗凪ちゃんは」



ああ、多分そんな感じかも。



「……充さんと紫野さんも、女の人に触られるのが嫌なんですか……?」

「苦手だね。ベタベタされると気持ち悪いと思うよ」

「匂い嗅いだだけでも吐き気がするな」


そっ……か。


私が充さんと紫野さんに警戒心を抱かないのは、何もイケメンだからとか同性愛者だからとかだけじゃなくて、異性に対しての嫌悪感が共通してるから…なのかな?




「なるほどな。おまえが二次元に入り浸ってるのも、そういう理由からか」



……うーん……。確かに、お父さんやお母さんが亡くなってからは、その傾向が強くなったのは事実だけど。


元々女子校育ちっていうのも、あるから…かな?