でも多分、一さんは充さん達に、その原因は話してると思う。


「……一さん、何か言ってましたか……?」


夕食をぼんやり見つめながら、二人に聞いた。



「……大家さん……紗凪の親父さんやお袋さんが亡くなった事で、何かのトラウマになったんじゃねぇか…って、一は言ってるんだよな」


こくん、と頷いて、また無意識に下を向いた。



「……棺の中に入ってるお父さんとお母さんの体とか、釜の中に入れられてく瞬間とか、……あと……ほんの少し前まではちゃんと体があったのに、焼かれてお骨になった……っ……」



そこまで話すとまた涙が止まらなくなってしまって、話す事も困難になった。



「……トラウマ……と言うか、フラッシュバックが起きてるんだね」


しゃがみこんだ私の目線に合わせて、充さんも紫野さんも、私を挟んで隣に座ってくれた。



「だからっ、肉も食べられないし、人に……特に男の人に触られたくないんです……。なのに」

「一が言った通りだな。生々しい記憶がトラウマになってるってな」

「……翔には充から注意しといたから、もう大丈夫。アイツも反省してるみたいだし」



別にもう反省とか要らない。


アイツとは関わらないって決めたから。