……そして荷物の中の段ボール箱を見つけ、私は思わずグヒヒと笑いそうになった。駄目じゃん!ここまでシリアス路線で来てるのに!


て言うか、お父さんとお母さんの事は確かに今でも悲しいけど。思い出す度涙が出るけど。




それでも私は生きていかねばならない訳で。


生きるためには魂の補完……もとい充足も必要な訳で。


段ボール箱の中には本屋で売っていないような薄い本や、コミックスがぎっしりと詰まっている。私はその箱を、頬擦りしながら撫で回した。ちょ誰、そこでキモいとか思った奴?


これは所謂BL 系の同人誌やアンソロジーと言うシロモノ。並んで買ったレア物だってある。え、どこに並んだかって、そりゃ首都埋め立て地の展示場とか。




そう、私は腐女子。


【男×男】の世界に萌えを感じる変人。その世界が二次元なら言うことないが、イケメンならリアルでも見てみたい目の保養の為に。


だから私は、男子寮を受け継ぐことを決心したね。だって男子寮だよ!?一組や二組ぐらいそーゆーカップルいるんじゃね?なんて期待と共に。


そんなんだから、まず自分は空気みたいに無視されないと意味無いじゃん。じゃないと警戒して、リアルホモのイチャイチャパラダイスが見れないでしょ?だからこの格好で良いの。


鼻歌を歌いながら、本棚に思う通りに本を仕舞っていく。満ち足りたこの至福の時間。




ああ、どんなイケメン達が目眩く世界を堪能させてくれるのか、夕飯時を楽しみにしながら、私の妄想は膨らんでいく―――。