『しかもイケメンがいそうな男子寮ですって!? 誰か、男性レイヤーに良さそうなコ、いるわよねっ!?』


ほら来た。予感的中。


「あー…。うちの寮の人達、みんなそういうのには興味なさそ……」

『紹介料で2万出すけど』

「にっ…2万!?」



2万円!? 2万円あったら!!


ゲームとグッズと本とCD買えるじゃん!! マジで!?



普通の女の子ならメイクとか服とか買うんだろうけど、そこは腐っても腐女子。


優先順位からしてまず違う。



「分かりました。じゃあ、誰かに声をかけておきます」

『撮影は来月ね。できれば現役の男子高校生だと助かるわぁ』

「……そこはビミョーな線でお願いします。あ、斡旋した男性モデルにもバイト代……」

『勿論出すわよ!! じゃあね、ヨロシク!!』


若槻さんは元気よく用件を言うだけ言って、電話を切った。




誰に頼むかなぁ……。


やっぱり紫野さんか、充さんかなぁ?


でも秦野君には私が腐女子だってバレてるし、秦野君の方が若槻さんが言う条件には合ってるんだけど。


秦野君を刺激するなって充さん達に言われたし。



なんたる事か、私は毎日欠かさず読んでいるコレクションも読まず、ベッドの上で悶々と悩む羽目に陥ってしまった。