「分かってますよ。来生さんが腐女子だってことも。あと、アンタ達の仲もね」


この爆弾発言には驚いた。


げぇっ、しっかりバレちゃってる!?



「気づかないのは単細胞な翔レベルの奴等だろうけど、俺は負ける気しないんで。ああ、あと、………邪魔しないで下さいね?」



秦野君は、にーっこりと笑顔を充さん達に向けた。


けど、背後のオーラが真っ黒だ。なんか怖い。滅茶苦茶怖い。




「……じゃあ、来生さん、夕食の時に迎えに来るね」


秦野君はそう言って、くるりと踵を返した。


うーん……。


秦野君が何を言いたかったのか、今一よく分からないぞ?



困ってしまって後ろを振り返ると、充さんと紫野さんが秦野君を睨んでいた。


「……あいつ……」

「……まずいね……」


充さんも紫野さんも、怖いぐらいシリアスな顔で秦野君が消えた方を睨んでいる。



「……とりあえず、作戦変更な。紗凪、お前はもう迂闊に天を刺激すんな」

「へ!? どゆ、意味……?」


だって誘惑しろって言ったの、充さん達なのに?



「……僕達の近くから離れないで、ってこと」



謎の言葉を残して、二人も階段の下に消えていった。


へ?え?だって新学期が始まったら、秦野君と一緒に電車通学するんですけど……。



階段の上に一人残された私は、暫くそこに、ぽつねんと佇んでいた。