「遅かったね」


管理棟の玄関で靴を履いて、外に出ると一さん達に合流した。


「翔は休み明けから試合とか大会があるのか?」

「まぁ、みっちりと。インターハイの予選から県総体、その他色々」

「休む暇もないな」

「んっとにダルぃ。つーか休みてぇ」


一さんと赤間君が並んで歩いているから、自然に私の横は秦野君に。



これはもしかして、チャンス到来か!?



「来生さんは、部活は何かやってるの?」

「まぁ…。文芸部、ですけど……」

「文芸部って、どんな活動内容?俺らのと似たような感じかな…?」

「年に一回、部誌を発行しています。他には詩や短歌をコンクールに出したり」

「あ、やっぱり少し活動内容は違ったね」


紫野さんに言われたことを思い出し、眼鏡を外して秦野君を見上げた。


けど、逆行になって秦野君の表情までは分からなくて。


……紫野さん、誘惑なんて芸当、私には100年ぐらい早かったようです……。